うちの遺伝性疾患


 速鳥は高校卒業後は関東の大学に進学するために家を出た。
その後も、一時期実家に戻った事もあったが、基本的に一人暮らしを続けている。
実家の便利さ有り難さを身に染みて分かってはいるが、気ままな一人暮らしもやめられない。
お金のあるうちは。



 実家から遠く離れたところに済んでいると、帰省するのが大変だ。
時間的にも金額的にも。
意外に実家は交通の便の良いところにはあるが、それでも盆だ正月だで帰れるほどには余裕はない。
今回も数年ぶりの帰省となった。



 戸建てなので一応自室はあるのだが、もう半物置状態。
親が「物を捨てられない病」なので、変なガラクタから、もう着ないような服、
壊れた家具まで置いてあったりする。まぁ、その半分は自分の物だったりもするが。



 この夢の島状態は家全体にも広がっていて、キッチンでふと足元を見たると
"鬼の面"がこっちを睨んでいて驚いた。なぜキッチン…
間違いなくこの家は、将来ゴミ屋敷としてご近所から疎まれるようになるだろう。



 っていう、そんな身内の恥。
しかしこの病気は、間違いなく自分にも感染しているという事が
いまの下宿先の部屋の荒れ模様を見れば一目瞭然。
ホント、捨てられないんだって。なぜかこれが。