生徒会の一存 #9 私の生徒会
知弦さんに中学時代があったとても思えない,『生徒会の一存』,第9話.
(前回の記事はこちら.生徒会の一存 #8 嫉妬する生徒会 - DDC blog)
オープニング.
夕暮れ,保健室らしき場所で,杉崎の頭を抱きかかえる知弦さん.
どうやら,杉崎と知弦さんが出会って間もない頃のエピソードのようだ.
知弦:「心の傷ってね.自分で癒えた思っても,本当はそうじゃない事が多いのよ.
吹っ切ったと思っても,元気になったと思っても.
だから,たまには感情を吐き出さないといけないわ.
ずっとずっと,我慢してきた心の中にある,想いを…」
抱かれる杉崎は何も答えない.
ただ,荒い呼吸が嗚咽にも感じられた.
未だかつて無いシリアスな場面.
過去の杉崎に何があったのだろうか.
舞台はいつもの生徒会室に戻り,本日のテーマは「本を読もう!」.
読書の秋らしいテーマだが,会長が取り出した本は「あかずきんちゃん」.
まさに子供チョイス.
しかも自慢げ.
会長いわく,「うさぎとかめ」→「かさじぞう」→「はなさかじいさん」→「しらゆきひめ」と
徐々に難関に挑戦した末に,“一周まわって”「あかずきんちゃん」に戻ってきたのだと言う.
なんて小さな一周だ.
深夏が読んでいるのはいつもの少年漫画雑誌.
見せられた漫画には『俺たちの戦いはこれからだ!』という,
なんとなく聞き覚えのある台詞が…
それ,今週で打ち切りじゃないっすか?
厨二のバイブルであるブリーチっぽい絵柄なところが,また危険な.
他に読んでいたのは,なぜか犯罪者たちの名前が書き連ねられた“黒いノート”.
第1話あたりでも出てきた定番ネタやね.
で,真冬はというと…
いつもの中目黒と杉崎のBL本を手にしているw
杉崎もそれは分かりきっているので,もう放置しようとするが,
真冬:「真冬の好感度あげるために話しかけましょうよ〜!」
杉崎の方の好感度が下がる事になぜ気づかないw
無理矢理に絡んでくる真冬に,仕方なく話を続ける杉崎.
そして“BLを読んで男の生態を知ろうとする真冬”と,“エロゲで女の子を学ぼうとする杉崎”の
論戦が繰り広げられる.
杉崎:「しかしっ,エロゲの恋愛は男と女.ノーマルに近いのはこっちだぁ」
真冬:「恋愛に性別は関係ないと思います! そーゆー狭い視野はいけないと思います!」
どっちもダメ人間だっつーw
それを見守るほかメンバーたち.
知弦:「一種の近親憎悪よね」
言い得て妙.
知弦さんが読んでいた本はというと,
「目障りなアイツを速やかに消す十の方法」.
その表紙を見ただけで杉崎は土下座して後ずさる.
知弦:「やぁねぇ,別にキー君をどうこうしようと思って読んでるわけじゃないわ.
…キー君は速やかになんか消さないわよ」
半べその杉崎に,「冗談よ」と言って安心させておいてから,
さらに追い打ちをかける.
知弦:「苦痛のあとに辿り着く快楽って言うのを,たっぷり味わわせてあげる」
そんな快楽,味わいたくもありません…
安心させておいて突き落とすこの攻撃.しかも連続.
知弦さんは本当に高校生か?
しかし意外な事に,知弦さんは占いの本が好きだという.
杉崎相手に色々試し(ボケ倒し),最後に出てきたのは「握手占い」.
知弦さんが差し出した手と握手をする杉崎.
だが,いつまで待っても結果を教えてくれない.
手を握られたまま,知弦さんに見つめられているという状況に杉崎はちょっとテレ気味.
そんな様子を,面白くなさそうな顔で見ている他メンバーたち.
やっぱりハーレムルート進行中なのか.
結局,我慢しきれなくなった会長が,本を取ろうと見せかけて割って入ってきた.
そして出てきた結果は,
『一番最初に割って入ってきた人は,とてもヤキモチです』.
なるほど,この占いは使える!!
…どこでだ?
ブーブー文句を言う会長を相手にしている杉崎に,
知弦さんは「ありがとうね」と言い残して,生徒会室を出て行ってしまう.
どこへ行ったのかは,誰も分からない.
そして知弦さんの座っていた席には,生徒会に宛てた一通の手紙が残されていた.
差出人は宮代奏とある.誰かは分からないが,女子の名前だ.
ラブレターと思い込んだ杉崎は,自分宛か,それとも深夏宛かと大興奮.
ぜひ深夏宛という展開でお願いしたいのだが!!
宛名が「生徒会様」となっていたことから,代表して会長が読み上げることになったが,
手紙を開いた会長の顔が真剣なものへと変わる.
会長:「ぅぅ まえ…?」
杉崎:「前略か…」
深夏:「前略だな…」
真冬:「前略ですね…」
ホントにカリスマだけで生徒会長になったんだなw
漢字が読めずに苦しんでいる会長の手紙を,やって来た顧問の先生が奪い取る.
そして,その文面を一瞥するなり,
顧問:「伏せろ!!」
もちろん言ってみただけ.
この先生,こればっかりだな.
『前略 あかちゃんへ』から始まるその手紙は,
中学時代にあかちゃんに対して行ったイジメへの贖罪の言葉が綴られていた.
宮代奏は手紙の中で,
あかちゃんのたった一人の親友でいたいがため,独占するために
悪口を言いふらしてクラスから孤立させたのだと告白.
そしてそんな状況にあっても,奏に刃向かわず,守ろうとしていた
あかちゃんの様子も書かれていた.
みんなは,今の会長からは想像もできない辛い過去に,それぞれ同情の言葉を口にする.
深夏:「何も考えず,お気楽人生歩んできた会長さんに,そんな過去があったなんて…」
真冬:「どう考えても子供にしか見えない会長さんが
そんな辛い思いをしていたなんて全然気づきませんでした」
姉妹揃って酷い言い様だ.
だけど,完全に同意.
だが,当の会長には全く身に覚えのない話で,差出人にも心当たりはない.
みんなでしばらく考えを巡らして,ようやくこれが
紅ちゃん,すなわち紅葉知弦宛だという事に気付いた.
その知弦さんは生徒会室を出たあと,奏と2年半ぶりの再会を果たす.
まずは,今頃何しに来やがったと言いたいぞ.
何かを言い出そうとした奏に先んじて,知弦さんは「守ろうとはしていなかった」と話し出す.
知弦:「憎しみに縛られたこともある.刃向かわなかったんじゃない.傷ついていただけ.」
しかしその傷も,生徒会のみんなと出会って癒されたと続ける.
奏:「許して,くれるの?」
知弦:「あの時あなたも傷つき,今までずっと苦しんできたんでしょう?
奏はきっとそういう子だと思ってた」
知弦さんは笑顔で生徒会のポーズを決めた.
舞台は再び生徒会室.
知弦さんの手紙を勝手に読んでしまったことで,メンバーたちは恐怖に囚われてしまっている.
杉崎はもう既に,泣きながら遺書の用意をしている.
『愛する妹よお前がこれを読んでいるとき兄さんは存在を消されているかもしれないお前は知弦って言う女の人によって記憶を操作されオレのことは忘れて…』
妹がいたのか… なんか,許せん.
そこへ知弦さんが生徒会室に戻ってきた.
扉の開く音に,過敏に反応するメンバー.
机の下,好きなんだなw
不思議そうにしている知弦さんを椎名姉妹はなんとか誤魔化そうとする.
深夏:「あぁ,えぇと… みっみんなで知弦さんの話してたんだっ」
真冬:「え,えっと… 紅葉先輩,中学時代はどんな子だったんだろう,とか?」
使えねぇw
そこで,「それより会議しなきゃ」と珍しく的確ななフォローを入れる会長.奇跡だ.
しかし知弦さんに会議のテーマを問われて,
会長:「え,えとー… いじめ問題とか」
どうして核心を突くかな!
会長に期待したのが間違いだ.
しかし例の手紙は,知弦さんは読ませるつもりで置いていった物だった.
わざわざ宛名を「生徒会様」と細工したのもその為.
「理由は分からないけど,なんとなく大丈夫だと思った」,という妙な理由で.
もう終わった事だというのを証明したかったのかもしれない.
自分を癒してくれた人たちに向けて.
そして知弦さんは.また手を差し出して杉崎と“握手占い”をする.
知弦:「キー君の傷は― もう平気になった?」
笑顔を返す杉崎.
総評.
知弦さんと杉崎の,過去に傷を持つもの同士のお話.
ギャグを挟みながらも,なんとなくしっとりとした放送回だった.
要約すると,昔の友達がゴメンと謝りに来て,もう気にしてねーよと返しただけの話だけど.
でも中学時代の知弦さんが,(自称)親友からの嫌がらせに耐えていたってのも
にわかには信じられない話だ.
奏との別れ際に見せた屈託のない笑顔は,中学時代の気持ちに戻ったから出たものだろうか.
今のブラック知弦になったきっかけが,一体何だったのかが気になる.
原因と結末がハッキリしている知弦さんに対して,
杉崎の心の傷がなんなのかはまったく語られていない.
以前にちょっとだけ出てきた,二股の話だろうか?
また,その心の傷に知弦さんがどう触れたのかも,冒頭のシーンだけしか語られない.
杉崎はともかく,知弦さんがどうしたかは気になるな.
さて,全部見たところで,元ネタ解説のブログへ.
そーいえば,読書がテーマだったのに出版社ネタは出なかったなぁ.