ささめきこと #9 ひまわりの君


 仲間を得た蒼井が調子に乗って迫り来る,『ささめきこと』,第9話.
(前回の記事はこちら.ささめきこと #8 Ripple - DDC blog






 期末試験,最後のテストを終えて,賑やかさを取り戻した学校.
風間と純ちゃんが帰ろうとしていたところへ,蒼井がやってきて純ちゃんに話しかけてくる.
百合ジャンル同人即売会「ゆりフェス」に「織野真砂香伝道会」としてスペースが取れたので,
どんな本を作ろうかと,蒼井は大興奮だ.









しかし「織野真砂香」の名前を聞いて,離れてゆく風間.
蒼井に絡まれた純ちゃんはジェスチャーで風間に助けを求めるのだが,
風間は織野真砂香の正体が兄だと気付かれてはマズイので,
あまり蒼井とは仲良くしたくない様子.









全てジェスチャーで会話し合う二人.
これで意思疎通できてるところもすごいが,
まるで気付かずに,自分の言いたいことだけ言っている蒼井もすごい.
お前,人と話すって事を知らないのか.





 話すだけ話したら蒼井は満足したらしい.
自分の家に戻って,これからの充実した夏を想像して悦にひたる.
純ちゃんと同人誌をつくったり,純ちゃんちに泊まったり,
純ちゃんとゆりフェスに行ったり,山や海にも行っちゃう.
まさに純ちゃん尽くしな妄想.









そこからアイデアを膨らまし,蒼井はゆりフェスに向けての本を
「良家のお嬢さまと酒屋蔵元の娘」でのオリジナル小説で作ることにする.
良家のお嬢さまとは,純ちゃんのこと.家だけはでかいから.
酒屋の娘はもちろん蒼井のこと.実際に酒屋の娘だ.




初めてのオリジナル本に戸惑いはあったものの,
「初めて友達と作る同人誌」という事で,闘志を燃やしている.








けど純ちゃんには,同人活動のこと話通じてんの?







 翌日.
授業もテストも終わり,夏休みまであとわずかの学校.
今日は大掃除らしく,ホウキ片手にグラウンドに出ている純ちゃんのクラス.
そんなときに朋絵が,「合宿は8月6日に決まったから」,と声をかけてくる.


実は前日の帰りに,女子部の活動として合宿をしようと朋絵が言い出していたのだが
純ちゃんは本気に受け取っていなかった.
そもそも女子部じゃなくて帰宅部だし,合宿なんてする気はないとはねつける純ちゃん.









今どき珍しいブルマですよ.
しかも純ちゃんは黒のニーソで!




でも朋絵の方が何枚も上手だ.
純ちゃんの耳元でこう告げる.



朋絵:「村雨君,行き先は海だ! 想像したまえ,海と言えば…?




その言葉に,カッと目を見開く純ちゃん.想像した物とは…









このエロ娘がw









これですっかり純ちゃんは合宿に乗り気.
なんて扱いやすい子だ.






 一方の蒼井は,純ちゃん効果で一気にオリジナル作品を仕上げてしまう.
ページ1200字で50枚.妄想大爆発の結晶だ.



蒼井:「これ,コピー誌とか無理くない? いく? いっちゃう?!
 大人の階段,オフセットぉぉ!!









オフセ本は大人なんだ…?




そして翌日,その原稿を持って純ちゃんに見せようとするのだが,



純ちゃん:「え? あたし,何かするんだっけ?



やっぱりな.
あの時は,純ちゃんは風間とのジェスチャー大会に必死,
蒼井はゆりフェスの話に夢中で,全然意思疎通が取れていなかったのだ.
愕然とする蒼井.
そこで先生が来てしまい,話途中なまま「また後で」と純ちゃんは席に戻る.








勝手に盛り上がって盛り下がって,めんどくさいヤツだ.






 その後,純ちゃんとは話さないで一人で家路につく蒼井.
実は中学時代にも蒼井は,同人誌をつくろうとして
仲間たちとケンカして別れ別れになったことがあったのだった.



友達:「正直,アンタ,自分の好みを押しつけ過ぎなんだよねぇ



そんな昔のことを思い出してしまう蒼井.
渦巻く感情に耐えきれず走り出す,



蒼井:「一人の夏休みなんて,初めてじゃないし…




なんとか自制したまま自分の部屋に戻った蒼井.
ベッドに顔を埋めて泣き叫び,その声は開け放たれた窓から外へも響く..








そして泣き疲れた蒼井は,いつしか眠ってしまっていた.





 それから.
目を覚ました蒼井は,ベッド隣に純ちゃんが居ることに気付く.








朋絵とみやこも上がり込んで,百合小説に目を通していたのだが.


目覚めた蒼井に純ちゃんは言う.



純ちゃん:「ごめんね




いきなりの状況に慌てふためく蒼井の声が,明け放れた部屋の窓から外まで響いてゆく.
その声は,一人だけ外で部屋を見上げていた風間の所まで届いてきた.
それを聞いた風間は目を伏せ,一人で帰って行ったのだった.









でも確かこの日は,風間の水着を買うのに付き合う予定だったんじゃー?






 Cパート.
日を改めて,純ちゃんは蒼井の家で改めてゆりフェスについての話を聞き,
その開催日が 8月7日である事に気付いて驚いた.
8月6日が女子部の合宿なのに,純ちゃんはどうする気だ?!







 総評.
蒼井に同情できない.


オタク的思考で空回る蒼井が,面白くもあり悲しくもあり… という流れに
なるところだったんだろうが,やっぱりアレは鼻につく.
純ちゃんとの相互理解をすっ飛ばして,自分の好みだけを押しつけ,この体たらく.
自業自得と言っていいだろう.
中学の時も同じようなことやってんだったら,少しは学習しろと.
なんだかなー.
この子でシリアスな話は無い方が良かったなー.


こんなに不愉快になるのって… これが同族嫌悪ってヤツか!




 ほぼ蒼井視点で進んだ今回の物語.風間の出番があまりなかったが,
しかしラストの一人での帰路の時の表情や
冒頭の純ちゃんとの会話補蒼井に邪魔された時の反応が印象に残った.










兄の問題があるから蒼井とは距離を置きたいわけだけれど
そこで見せるあの寂しそうな表情には
純ちゃんと蒼井との関係に感じるところがあるのだろうか.
あって欲しい.





 なお今回のタイトル「ひまわりの君」は,蒼井の自作小説のタイトル.
ひまわりの花言葉は,「あなたを見つめている」.
蒼井の純ちゃんへの思いは,かなり本気のようだ.


蒼井はもういいから,アケミヤを出せ.