聖剣の刀鍛冶 #10 殉情 -Tragedy-



 エルザの物語に決着の付く,『聖剣の刀鍛冶』,第10話.
(前回の記事はこちら.聖剣の刀鍛冶 #9 面影 -Lisa- - DDC blog





 老騎士が持つ魔剣から放たれた雷球は狙いから逸れ,リサは無事だった.
「何故だ」と叱責するように魔剣に向かって叫ぶ老騎士だったが,またも吐血する.



ルーク:「自分の内蔵を贄にしたのか



老騎士は悪魔契約を行っていたのだ.
そういえば以前に,魔剣は悪魔契約で造られるという話があったが…




そして老騎士は… 背を向けて帰って行った!?
ちょっと,敵討ちじゃねーの?!
さっきまでの勢いはどうしたよ!
黙って見送るルークもルークだし!






 翌日,ルークの家で襲撃の件を聞いたセシリー(とアリア)は
魔剣を持つ不埒物に対して早急に対策を立てなければと息巻く.
ルークは,「刀鍛冶を狙ってきたんだろう」と話しているが,
リサは自分が狙いだったことに気付いているようだ.









そして肝心の犯人の行方だが,アリアには心当たりがあった.
以前に道でエルザとすれ違っていた時に,同じ魔剣として感じるものがあったのだと言う.






 所変わって,町中心部の市庁舎.
本日も代表者が集まって鳩首会談ならぬヴァルバニル会議が行われている.








今回もルークは欠席だ.
なんつーいいかげんなヤツ.




老人:「聖剣ができねば,我々はヴァルバニルに対する切り札を失う




会議の話によると,現在ヴァルバニルを封印している聖剣が,あと1年程度しか保たないという.
ルークは封印し直すための新しい聖剣を打つ役割のようだが,未だに完成していない.
でも聖剣って,どうやって打つんだ?


また会議では,一般には伏せられている世界の状況も話に上がる.
現在,世間で一般的に行われている祈祷契約.
それは霊体をエネルギー源としたものだが,その霊体が「ヴァルバニルの呪い」そのものだという.
また聖剣に封印されてなお人間を呪うヴァルバニルは
動けない自分のかわりに人間同士で殺し合いをさせようと考え,
そうしてできたのが「悪魔契約」のシステムだというのだ.
それを知った人間はヴァルバニルの目論見通り,悪魔契約を用いて先の大戦を引き起こしたのだが
なんとか共倒れする前に戦争を終結することはできた.



そんな事が語られる中,軍国の代表者が一振りのカタナを取り出す.



男:「ヴァルバニルを封印できるのは聖剣のみ.
 しかし,それを作り得る者が一人とは限らないわけでして.はい.









聖剣が完成したのかと驚く他の面々.
しかし帝國側の参加者の一人,シーグフリードは一瞥してから無言で退出する.
自分の馬車に戻って,従者らしき女に告げる.



シーグフリード:「あんな物ではヴァルバニルの封印などできまい








何か黒い臭いがするなー,こいつ.
つーか,首長会談の途中に勝手に出ていくって,好き勝手しすぎじゃね―の?
ルークと言いこいつと言い,まったく…






 会議の内容と同じ事をルークから聞いたセシリーは,一人でプンプン怒っている.
ヴァルバニルのことも,聖剣のことも,ルークのことも知らない自分に対して.
そしてまた,話してくれないルークにも怒っている.



セシリー:「だがそれを一人で抱え込んでどうする! それほど私は信頼できないのか…
 重荷を分かち合う価値もない存在だというのか!」」








まてまて,アンタそんな全てを打ち明けられるほどにルークと親しいってわけじゃないだろ.
愚痴を聞かされているアリアが可哀想だ.




 「きっと巻き込みたくなかったんだ」とセシリーをなだめて,アリアは街へ買い物に.
落ち込んでいるセシリーに元気を出してもらうため,美味しいものをたくさん仕入れていた.
その途中でエルザに出会い,アリアは二人きりで話をする.
魔剣にしか分からない話,「なんのために魔剣は生まれたのか?」.
人間でも剣でもない中途半端な存在の自分が落ち着ける場所がないことを憂う.









アリア:「私は,怖いんだよ.せっかく辿り着いても,いつまた離れることになるのか,
 そんな不安に苛まれながら生きていくのはもう御免なんだよ.



それは人間だって同じだと思うんだけどなー.



その問いにエルザは,憎しみから生まれた物が魔剣だと答える.



エルザ「魔剣は,ヴァルバニルへの憎しみから生まれました.
 自らを生んだ物を憎み,殺す.ただその為だけに.



魔剣になる時の詠唱,「神を殺せ」には,そんな意味があったのだ.






 その夜.
襲撃に備えてルークの家に詰めるセシリーとアリア.
アリアは戦いたくないと思っているのだが,やはり老騎士とエルザは現れる.


相手をしようとするルークの前には,指名手配犯である黒衣の男が立ちふさがり
リサを狙う老騎士とエルザが,セシリーとアリアが迎え撃つ.









 だが既に体が衰弱しきっていた老騎士は,斬り合いの途中でまたも吐血して膝をつき,
そこに迫るセシリーの疾風斬を,変身を解いたエルザが身を挺して庇う.
攻撃を受け,二人とも満身創痍.
老騎士は自分の死期を悟ったのか,短剣をエルザに手渡す.
リサに研いでもらったあの短剣.苦しむ騎士を安楽死させる為の物.









老騎士が自分の胸を示すと,エルザは短剣を深々と突き立てる.
倒れる老騎士.
その最期を見取ってから,「お父様」とつぶやいてエルザも覆い被さるように倒れ,
魔剣へと姿を戻した時には,それは真っ二つに折れてしまっていた.



アリア:「この子はずっと待っていたのさ.こうなる時を



感動のシーンとはいえ,老騎士の執着心も最後はやけにアッサリだったなぁ.
最後の瞬間だけはまともな精神を取り戻しましたよーみたいな演出をしたかったんだろうか.






 老騎士が倒されたのを見た黒衣の男は,ルークとの斬り合いを止めてお喋りを始める.
この黒衣の男も魔剣を使ってルークを追い詰めていたのに,なんなんだ.



男:「知らなければ教えてやる.そのリサという小娘の体には,ヴァルバニルの血が混じっている








前回の話から予想はしてたけど,やっぱりショーック.
リサ自身はこの事を知っていた?



かつてルークが洞窟に潜んでいたヴァルバニルから逃げる為に,
リーザを使って生み出した悪魔だと黒衣の男はバラす.
怒って斬りかかるルークだったが,カタナはフードを切り裂いただけ.
男は高笑いを残して消えてしまった.








あー,この顔はやっぱりシーグフリード.





 突然の話で信じられずに戸惑うセシリー.
否定の言葉を求めてルークに問いかけるのだが,返ってきた答えに打ちのめされる.




ルーク:「本当のことだ… 俺が,リーザを殺した








 総評.
一気に物語が進んだ.
最終回が近いとはいえ,詰め込みすぎネタばらしすぎだと思うんだが.


ギャグのないセシリーは,ホントに青いヤツだと再確認もした.
ルークの力になりたいという気持ちがあるのは分かるが,
恋人って訳でもないのに,あそこまで言うのはどーなんかなー.
まー,ルーク本人に言ってないだけマシか.


先週の放送で,老騎士の娘は「エルダ」だと思っていたけど「エルザ」で良かったようだ.
自分の内蔵から娘と同じ姿をした魔剣を作り出したという設定なんだろう.
わざわざ未練たらしく娘の名をつけるくらいなら,
“そのまま二人で幸せに暮らしました”でも良かっただろうに.
って言ったら,話が進まないな.


その魔剣を造る時の悪魔契約に,黒衣の男シーグフリードが協力があったようだ.
あの様子だと,わざわざそんな事しなくても,シーグフリード自らが
ルークを倒すなりリサを攫うなりすればいいだろうに.なに考えてんだか.




 そういえばアリアがいつも気にする「魔剣の生きる意味」ってそんな大事なことなんかなー.
読解力のない速鳥にはこれもよく分からない.
いつものコメディーで良いんだけどなー.
さすがにラストまでこんな調子だろうなー.