聖剣の刀鍛冶 #9 面影 -Lisa-


 サブタイトルに期待したが,リサではなくてリーザの話だった.『聖剣の刀鍛冶』,第9話.
(前回の記事はこちら.聖剣の刀鍛冶 #8 出立 -Resolution- - DDC blog




 今回は全体を通してシリアスな展開.
なのでさくっと.




 オープニング.
夕日に染まる橋の上で,話をしている少年と少女の姿.
女の子は「自分は騎士になる」と語り,少年は彼女のために刀を打つことを約束する.



これは何年か前の,ルークとリーザという少女の話,
今のルークからは想像もできない快活な少年だ.
リーザとはとても親しげで,幼なじみか恋人かといった風.


しかし次のカットで現れる,邪悪な目と触手.そして少女の叫び声.




そんな悪夢を見て,ルークは酷い寝汗と共に目を覚ました.



ルーク:「もう,三年か――」






 シーン変わってキャンベル家.
せっかくの休日にも関わらず,筋トレをしようとするセシリーを見かねて
母親のルーシーは綺麗な服を着てルークの所へ行ってこいと命令する.
もちろん着替えはフィオが担当.
残念ながら着替えシーンはなかった.




街へ放り出されたセシリーは,普段着慣れない服にひとり恥ずかしがっている.









戸惑う様子が意外にかわいい.
でも剣は手放さないのな.




ルークの所へ行くかどうか迷っているセシリーだったが,
知り合いからルークの鍛冶屋へのお客を頼まれ,仕方なく案内することに.



エルザと名乗るその女性は,傷ついた短剣を直して欲しいとルークに頼む.









だがその短剣を見たルークは,無理だと一言.
意地悪というわけではなく,刀の芯の部分まで傷が入っていての施しようがないらしい.
それじゃせめて手入れだけでも,とリサが買って出た.




そしてルークは,セシリーを誘って家を出る.
その手には摘んだ花.とてもルークには似合わない物だ.
用件も行き先も告げられないまま付いてきたセシリーは,緊張でがちがちになっている.









足下もおろそかで,何度もけつまずいてしまうセシリー.
二人でデートだとでも考えているんだろうか.




道中,セシリーは「リサとケンカでもしたのか?」と尋ねる.
確かにいつも一緒にいるルークとリサが,こうして別行動を取るのは珍しい事.
しかし,仲違いをしたという訳ではない.
リサ自身が,これから行く場所には行かないと決めているのだ.


ルークは,リサを大事に思っているが,このまま側に置き続けて良いのだろうかと
不安を口にする.
自分が気の利かない人間だと自覚しての言葉のようだ.





 一方,リサは工房で短剣を研いでいる.
その後ろから,意を決した表情で近付いてくるエルザ.
両手をリサの首に伸ばしてゆく.








何こいつ? スパイ?




ちょうどその瞬間,リサが話しかけてきてエルザの手は止まる.


リサ:「この短剣,なんだか悲しい感じがします.まるで,泣いているような」


リサの言葉を聞いて,エルザはその短剣の由来を話し始めた.
その短剣は,傷ついて助からない騎士を楽にするために使うための物.
とある騎士が戦場に行く際に.必ず帰ってくるからと娘に預けておいたのだという.
その騎士は戦場から生きて戻ったが,娘の方が悪魔の手にかかっていたのだった.



リサ:「傷が治れば,過去も癒えるかもしれない.そう思ったんですね」



なぜそんな短剣をエルザが持っているのか?
その娘は死んでいるはずだし?






 ルークとセシリーが辿り着いたのは墓場.
そこにはリーザの墓があった.



ルーク:「俺が守れなかった女だ」








幼いけれど,セシリーによく似ている.




リーザは幼なじみで,3年前にヴァルバニルに殺されたとルークは語る.
しかしヴァルバニルは伝説上の人外であり,セシリーはにわかには信じられない.





 ルークは3年前,リーザと一緒に立入が禁止されている洞窟に入り
そこでヴァルバニルに遭遇したのだという.
そしてルークを守ろうとしたリーザと,探しに来た父親を殺されながらも
ルークひとりだけ助かることができたのだった.









思い出して怒りをあらわにするルーク.
それには,ひとり逃げ出した自分自身への怒りも含まれている.



セシリーはルークの怒りをなだめ,どうして自分をここに連れてきたのかとに問う.



ルーク:「少し似ているんだ.リーザとお前は…」











 帰り道,セシリーは今まで以上にルークとの距離を遠くに感じていた.
知れば近づけると思っていたが,ルークの抱える物の片鱗を知り
それ以上に知ることが怖くなっている.


二人別れる時になって,セシリーは思い切って聞いてみる.



セシリー:「リーザを愛しているのか?!」


ルーク:「愛していた,だ. リーザはもういない.」



この言葉を,セシリーはどう感じたんだろうか.






 再び工房.
短剣の手入れを終えたリサは,エルザに「大切なのは今なんですから」と元気付ける.
エルザは短剣を大事そうに抱えて工房を後にする.









リサへの暴行未遂は何だったのか.




そしてエルザが戻ったのは,街から遠く離れた朽ちた荒ら屋.
そこでは老いた騎士が待っていた.



老騎士:「どうなんだ?ヴァルバニルの気配はあったのか?」



エルザに詰問する老騎士.
これはエルザの話にあった,娘を殺された騎士のようだ.


エルザはそれには答えず,「これを覚えていますか?」と手にする短剣を見せる.









だが老騎士はそれがなんだか分からない.娘の形見と言っても良いものなのに.
それよりも,ヴァルバニルのことの方が重要な様子で,
錯乱した様子で「エルダの仇を討つ!」とわめき散らす.
その勢いにおされたのか,それとも哀れな様子に耐えられなくなったのか
エルザは悲しそうな目で,「見つけました」と老騎士に答えた.





 そしてルークの工房に現れた老騎士.
ヴァルバニルに対する怨嗟の言葉を口にしながら襲ってくる.
しかもその手には雷を操る魔剣.









相手をしようとと立ちはだかるルークだったが,老騎士狙いはリサの方だった.
魔剣の力で撃ち出された雷球がリサを襲う.







 総評.
ルークの過去と目的がなんとなく見えてきた.
リーザの復讐のために,強い刀を集めてヴァルバニルを倒そうというのだろう.
その怪物が,ヴァルバニルである証拠は今のところ無いが.


そんなリーザへの強い思いと同じくらいに,ルークはリサを大事に思っているようだ.
あんなでも.
その強烈な思いはどこから来るのかは,まだ触れられていないが
今回のエピソードで少し明らかにされそうな気がする.
リサを「ヴァルバニル」だと呼ぶ老騎士や,エルザの雰囲気からなんとなくだけど.


その老騎士とエルザの関係は今ひとつよく分からない.
主人と召使いに見えなくもないけど,老騎士の娘エルダと同一人物のようにも見える.
死んで魔剣として生まれ変わったとか?
さてはて.



 セシリーは今回,かなりおとなしめで女の子っぽい.
まるで恋愛アニメのようだった.
でもルークがあの調子じゃ,発展することはないんだろうな.
ご愁傷様です.
たまにはそんなのも良いけど,やっぱセシリーはギャグ担当じゃなきゃ.




 てか,三年前であの子供姿って,ルークは今何歳よ.